光岡知足先生のこと

 

【プロフィール】

光岡知足(みつおか・ともたり)

1930年、千葉県市川市生まれ。東京大学農学部獣医学科卒業。同大学院博士課程修了。農学博士。’58年、理化学研究所に入所。ビフィズス菌をはじめとする腸内細菌研究の世界的な権威として同分野の樹立に尽力。腸内フローラと宿主とのかかわりを提唱し、腸内環境のバランスがヒトの健康・病態を左右すると指摘した。「善玉菌」「悪玉菌」の名づけ親としても知られている。

ベルリン自由大学客員研究員、理化学研究所主任研究員、東京大学農学部教授、日本獣医畜産大学教授、日本ビフィズス菌センター理事長を経て、現在、東京大学名誉教授、理化学研究所名誉研究員、日本獣医生命科学大学名誉博士。日本農学賞、科学技術長官賞、日本学士院賞、メチニコフ賞などを受賞。趣味はクラシック音楽鑑賞とバイオリン演奏。大学在学中からバイオリン奏者として市川交響楽団にも在籍。

著書は「腸内細菌の話」「健康長寿のための食生活」(以上、岩波書店)、「腸内菌の世界」(叢文社)、「人の健康は腸内細菌で決まる!」(技術評論社)、「腸を鍛えるー腸内細菌と腸内フローラ」(祥伝社)、「大切なことはすべて腸内細菌が教えてくれた」(ハンカチーフ・ブックス)など多数。

 

【業績】

光岡の腸内細菌の研究は1953年、東京大学農学部獣医学科大学院へ進学した時から始まる。同分野に関する研究そのものがまだ黎明期であり、多くの科学者達がヒト及び動物の腸内に棲む多種多様な細菌の培養を困難とし、腸内細菌の系統的研究が全く行われていなかった時代に、自ら考案した分離、培養、検索法を確立し、また実験装置を作製し次々と腸内細菌の新たな発見・分類・同定に成功した。

 

混乱していた腸内細菌分類が、光岡の開発した分離・培養法によって同分野の分類体系を確立させた。さらに、ヒトおよび動物の腸内フローラの詳細な生態学的な解析を行い、腸内フローラの加齢現象の発見、ヒトの腸内フローラの個人差・日間変動の発見、ビフィズス菌の伝播・定着様式など、腸内フローラの生態学的法則を次々と発見した。

 

光岡の60年にも及ぶ研究生活によって腸内細菌学が樹立され、その研究を基に機能性食品(ヨーグルトやオリゴ糖、殺菌酸乳の長寿・保健効果など)の研究や開発が進んだ。光岡の発見は、当時としては受け入れがたいことが多かったが、仮説としてあげたものは今や定説となり、現在の常識になっているものが多い。よく耳にする「善玉菌」・「悪玉菌」という言葉の生みの親である。

1997年に提唱したバイオジェニックス理論も最近になってようやく注目され始めている。

(wikipediaより抜粋)

 

【主な著書】

『腸内細菌の話』(岩波書店 1978年)

『腸内菌の世界―嫌気性菌の分類と同定』(叢文社 1980年)

『腸内菌叢の分類と生態』(食生活研究会 1986年)

『腸内細菌学』(編著:朝倉書店 1990年)

『健康長寿のための食生活』(岩波書店 2002年)

『人の健康は腸内細菌で決まる!』(技術評論社、2011年)

『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』(祥伝社 2015年)

『大切なことはすべて腸内細菌が教えてくれた』(ハンカチーフブックス 2015年)